2019年12月28日

念願の雪の北岳登頂

山域:南アルプス 北岳
日程:2019/12/28-30
参加者:達雄、上田A、上田M、山口、尾國

山岳会の冬季山行で北岳に登りました。
昨年も年末に計画したのですが、季節外れの雨天予報に断念し、一年越しの実現です。
今年は天候にも恵まれ、この時期とは思えない陽気の中、気心の知れた仲間と今年最後の山行を楽しみました。

今回のパーティでは一番年長の私を気遣ってか、片道500kmの運転は回ってきませんでした。「ありがとう、感謝しまーす。」
渋滞もなく順調に進み、奈良田ゲートの1km手前で1人群馬から来た尾國さんと合流して仮眠。
早朝より行動開始、林道をぐいぐいと歩く上田Aさん、山口さんに引っ張られ、久しぶりの重荷に登山口となる歩き沢橋までの約12kmの林道でクタクタになりました。 何とか追いつこうと大股で歩いたため、左かかとには靴擦れが出来ています。

途中、荒川出会いでは氷瀑が発達中でした。2003年2月にアーリースプリング1986年2月に右のなめ滝 当時の40mロープで5〜6ピッチ、スクリューをビレイ支点にしての氷のマルチルート。 「あれが荒川出会いの氷瀑群だよ。」と話をしていると、当時の記憶が鮮明に蘇ってきました。 ぜひ、これからの岳友会の人に登ってもらいたいものです。

歩き沢橋の登山口から登山道を見上げると、先行の単独登山者が登っていました。 ぞっとするような急斜面に雪がつき、足を滑らせたら一巻の終わりという感じです。 軽量化に努めたつもりですが、雪山の山中二泊、共同装備の6人用テントボール、コッフェル、ガスコンロを入れたザックはずっしりと肩に食い込み、何度も背負いバンドを浮かせて、へとへとになって池山御池小屋につきました。 ここで終わりにしたいのはやまやまでしたが、全員で話し合って、翌日のためにもうひと踏ん張りして2200m付近まで登ってテント設営をする事にしました。

小屋の前でへたり込む。これ以上動きたくないのですが。
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踏ん張って城峰の登りの手前2200m地点まで行き、テント設営中。ここ数日で積もった雪のようで、いくら踏み固めても固まらず、竹ペグも利きませんでした。
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テント内で早めの夕食後、熱燗やお湯割りで、これから登りたい山など歓談したあと、明日のアタックに備えて早めに就寝しました。 「こんなに早く寝たら夜中に起きちゃうよ」という心配も何のその、前夜の運転疲れもあり、全員9時間爆睡でした。
二日目は5時にヘッドライトをつけて登山開始。途中で振り返ると大きく見える富士山に感激です。

登るにつれ明るくなり、やがてご来光、「あーっ、もう少し右側だったら」などと話しながら前に進みます。
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青い空と金色に輝く登山道、絶好の登山日和です。
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ボーコン沢辺りではすっかり日が上がり、白く輝く山々が見え始めました。
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積雪量が少ないため、八本歯のコルはロープや梯子が出ていました。
中途半端な積雪は岩が出てややこしいですが、雪彦山の岩場でアイゼン練習を積んできたメンバーは、問題なく通過しています。
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「この急な雪壁を登ると山頂」と思っていたメンバーですが、山頂はさらにその先でした。
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ようやく着いた山頂でみんなで記念撮影。 千丈岳、甲斐駒ヶ岳、鳳凰三山、八ヶ岳、間ノ岳、富士山、そして北アルプスや中央アルプスの名のある山々が一望できました。 私は抜けるような青空に、22歳で挑んだヒマラヤを思い出していました。
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下る方向には間ノ岳に続く稜線が見えます。 このチャンスを逃したら二度と登れない、このまま行ってみたい衝動にかられますが、61歳の私には少し遠すぎます。 冗談半分で、「山口ー、行ってこいー。」などと叫びながらも、我慢してテント場まで一気に下山。
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テントで登頂祝いをして就寝しました。
夜中からさらさらと雪の音が聞こえ始め、朝起きるとうっすらと新雪が積もっていました。 明るくなるのを待ってテント撤収し下山開始。 林道の新雪に隠れた氷に足を取られながら、ひたすら前に進みます。しんしんと降る雪は下るにつれて雨に代わりました。 本当に良いタイミングでした。

最後のトンネルに入りゲイトが見えると「やったー」の声。本当にしんどい山行でした。
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この後、駐車場まで更に1km歩き、温泉に入って帰路につきました。

12/27(金) 20:20高砂発
12/28(土) 3時過ぎに奈良田着、仮眠後6:00 発、登山口(9:16-9:32)-池山小屋(12:35-12:44)-テント場(13:59)
12/29(日) テント(5:01)-ボーコン沢の頭(7:34-7:51)-北岳(10:43-11:04)-ボーコン沢の頭(12:55-13:11)-テント(14:47)
12/30(月) テント(6:27)-登山口(8:34-8:46)-駐車場(12:00)-高砂着20:45

YAMAP
距離:45.2km
累積標高:3772m

下記は「兵庫山岳」投稿原稿。
 年末に5名の会員で北岳に登りました。昨年は雨天予報で中止した山行を一年越しの実現です。夜の高速を走りながら、私は今回の山行のためにやったトレーニングの事を考えていました。会の伝統の雪彦山の沢でのアイゼントレーニング。アイゼンをつけて水際をへつったり、ボルダリングをしたり、一歩間違えば大けがをするような訓練です。練習中に、沢に落ちて頭から冷たい水を滴らす今年の新人が、「こんな訓練は必要なのですか?」と聞いてきました。私はすかさず、「10の練習をして5の山を登る。それが岳友会だ。」と答えました。そのほか、冬山装備を持っての大山登山やボッカ訓練など、十分な準備をしてきました。
 奈良田の駐車場に着いたのは3時を回っていました。僅か2時間の仮眠後に準備をして出発です。最初は登山口までの3時間半の林道歩き。若手がどんどんと先行する中、寝不足と重い荷物でおいて行かれそうです。昨夜は一番年長の私を気遣ってか運転は回ってきませんでした。そんなハンディをもらってますから弱音を吐くわけには行きません
 ようやく到着した歩き沢橋。ここからが本番です。「えっ」と驚くような急斜面を3時間登り続け、傾斜が緩くなったその先に池山御池小屋が現れました。誰からともなく、「今夜は小屋で泊まろうか。」という声。しかし、そんな弱い自分たちに負けていては後悔するでしょう。明日のためにと歩を進め、城峰の手前、2270m地点まで登ってテント設営しました。
 狭いテントの中で、いつものように雪を溶かして水づくり、前祝の乾杯、食事を済ませ、18時に寝袋に入るときに、誰かの「こんなに早く寝ると、夜中に目が覚めて困るぞ。」と言う声を聞きましたが、昨夜の寝不足と激登りの疲れからか、気づいたら朝でした。
 樹林帯の中で星こそ見えませんでしたが、無風、快晴のようです。準備をしてヘッドライトをつけて行動開始。十分な睡眠と軽い荷物に歩が進みます。ふと振り返ると大きな影が見えました。「おい、見てみろ、富士山だ。」ここ池山吊り尾根からの富士山は大きくて格別です。やがて地平線がオレンジ色に輝き始め、目の前のボーコン沢の頭に続く雪の斜面も赤く染まっています。見上げると雲一つない青空で、またとない絶好の登山日和でした。
 しばらく歩くと、間ノ岳がその巨大な姿を見せ、北岳バットレスが見えると難所の八本歯のコルです。高度感はありますが、雪彦山でのトレーニングに比べれば難しくはありません。ピッケルとアイゼンが良く利くので、ロープは使わずに通過しました。今までは北岳に遮られていたのでしょう。バットレスを右手に見るころから急に風が強まりました。フードを被り、風で雪が吹き飛ばされて岩の出た斜面を登りきると吊り尾根分岐の標識です。右手の北岳に続く急な雪壁をピッケルを利かせて慎重に登ると、雪稜の先に3193mの山頂が見えてきました。
 山頂からは北アルプス、中央アルプス、八ヶ岳などの名だたる山々の絶景。すぐそこには、若いころ厳冬期に登った仙丈岳や甲斐駒ヶ岳が見えました。そんな中、まだ冬季に登ったことのない間ノ岳が、目の前に稜線でつながって、「おいで、おいで。」と手招きしています。「このまま行ってしまいたい。今しかないぞ。」という衝動を抑えながら、別れを告げてテント場に戻ることになりました。
 テントで祝杯を挙げ、「来年はどこに行こうか。」などと楽しい話をしながら寝袋に入りましたが、気持ちが高ぶっているのか、再三目が覚めました。夜半から風、そして「サラサラ」とテントを流れる雪の音が聞こえました。朝起きると雪は降り続いていました。テントを撤収し下山開始。新雪の積もった急斜面を下り、林道につくことには雪は本降りになりました。今日は稜線は大荒れでしょう。私たちは天気に恵まれました。雪がみぞれ、そして雨に変わる中を黙々と歩き続けると、やがて奈良田のゲートが見えました。誰ともなく「やったー。」の声。達成感のある、そしてくたくたに疲れた年末山行が終わりました。
 会の仲間たちと一つの目標に向かって共有する時間は最高の贅沢です。いつまで今回の様な登山ができるのかわかりませんが、身体の動く限り登り続けたいですね。
posted by 岩と雪 at 00:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 南アルプス
この記事へのコメント
お疲れ様でした。すごいです。ただただすごい、と感激しています。
Posted by 飯田和子 at 2020年01月01日 16:44
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